レーシングシミュレーターの幅広いユーザーをカバーするデバイスメーカー『MOZA RACING』。
その制御ソフトとなる『MOZA Pit House』は、ステアリングモーターベースやペダルのキャリブレーションのみならず、非常に細かい項目のパラメーターを調整することが可能で、最もエントリーモデルである『MOZA R3』であっても上級者が納得できるセッティングを施すことができます。その反面、初めてレーシングシミュレーターデバイスを手にした方にとっては、表記が英語なこともあって、どの項目を触ると何が変わるのか分からず、購入後1度もパラメーターを触っていない…というユーザーも少なくないかもしれません。
そこで今回は、この記事を見ればMOZA R3・R5・R9・R12・R16・R21を自分好みにセットアップできるように、『MOZA Pit House』のモーターベース項目を徹底解説していきます。
■Home
『MOZA Pit House』を開いて最初に現れるページでは、ステアリングに関してふたつの項目をクイックに調整ができます。
【Maximum Steering Angle】
ステアリングの最大切れ角(ロックトゥロック)
最小90°から、最大2700°まで変更できます。
【Game Force Feedback Intensity】
ゲームからデバイスに出力されるFFB(フォースフィードバック)の強さ
数値を上げるほど、FFBが強くなりステアリングが重く感じられるようになります。
こちらの値は、シミュレーターソフト(アセットコルサやiRacingなど)からデバイスに出力される強度を示しており、高い数値で使用していると、縁石に乗り上げた時やクラッシュによるキックバックなどでモーターが想定している以上の入力を与えられた時にトラブルの元となるため、高めに使用したい場合は70~80%で様子を見ながら使用頂くことをお勧めいたします。
■Basic Settings
MOZA Pit House左側、上から2つ目のモーターベース調整項目では、『Basic Setting』『Advanced Setting』『FFB Effect Equalizer』『Base FFB Curve』の4項目のタブがあり、それぞれのパラメーターを触ることで、ステアフィーリングをセットアップすることが可能です。
最初の項目、Base Settingでは、基本的な項目を調整することが出来ます。
まだシミュレーターに慣れていない方は、こちらの項目のみ調整頂いても良いかもしれません。
【Preset Modes】
MOZA RACING公式が基準として用意した、Drift、Formula1、GT、Karting、Performance、Rallyの5種類のプリセットを選択できます。
GT、Performanceに関しては、更にAC(アセットコルサ)、ACC(アセットコルサコンペティツィオーネ)、AMS2(オートモビリスタ2)、RF2(rFactor2)、iRacingと、ソフトごとに公式が設定した値に切り替えることが可能です。
MOZA RACINGのモーターベース導入直後は、是非この公式プリセットの中から適切なものを選択してご使用ください。
Preset Modesのセッティングでも、まだ良いフィーリングを得られない…という時に、次項以降のセッティング項目を触ってみると良いでしょう。
【Maximum Steering Angle】
『Home』で調整できるステアリングの最大切れ角調整と同様。
【Road Sensitivity】
路面から伝わる振動表現の強弱を、0~10の範囲で調整できます。
低すぎるとステアリングからの情報が少なく、コーナーリング中の操作が不安定になりますが、逆に高めすぎるとハイダウンフォース車などではストレートでも左右にガタガタとステアリングが振れてしまうようになります。
通常8~10で使用することが多いですが、使用する車両のタイプによって調整すると良いでしょう。
【Game Force Feedback Intensity】
『Home』で調整できるFFB(フォースフィードバック)の強さ調整と同様。
【Maximum Wheel Speed】
この値が高い程、ステアリングホイールが回る速度が速くなります。
具体的な調整例として、ドリフトでS字の振り替えしをより深い角度でシャープに行いたい場合は、左右に回るステアリングの速度が速い方が走りやすくなります。
逆にフォーミュラーカーなどのハイダウンフォース車両をドライブする際、高速コーナーでは特にこの値が小さい方が安定して走行できます。
値を上げ過ぎると、初級者の方がステアリングを握り損ねてしまった時に、怪我の恐れが高まるので注意が必要です。
通常グリップでの使用で20~40%、ドリフトでの使用で100%前後の値が基準となります。
【Wheel Spring Strength】
ステアリングが左右どちらかに切れている時に、モーターの力でセンターに戻そうとする力の値です。
ソフトからの出力ではなく、モーターが自発的にセンターに戻ろうとする力の事なので、FFB信号が全く無いゲームで使用します。
アセットコルサ、iRacing、rFacter2などのレーシングシミュレーターソフトでの使用では、0となります。
【Wheel Damper】
ステアリング振れを押さえるダンパー効果の減衰力を調整できます。
適切な値にすることで片側にステアリングを切り込んでいった時の手応えが増え、安定感が増します。
値を高めていくとドリフト時のセルフカウンター速度が速くなり簡単になりますが、高めすぎるとFFBの詳細が失われてしまうため、実車らしいステアリングの動きを求めるとグリップ・ドリフト共に30~40%が基準の値となります。
■Advanced Settings
▲MOZA R3・R5の項目
▲MOZA R9・R12・R16・R21の項目
【Professional Game Force Feedback Intensity】
MOZA R9・R12・R16・R21にのみ存在する項目です。
この設定を使用すると、ソフトから出力されるFFBの強さを100%以上に高めることが出来ます。
【Force Feedback Reversal】
ONにすると、FFBが反転されます。基本的にはOFFで設定します。
【Maximum Output Torque Limit】
モーター保護の為、過度なフィードバックが掛かった際の制限値を設定できます。
基本的には100%(制限なし)で使用します。
【Hands-Off Protection】
ステアリングから手を離した際に、ステアリングが暴れてしまうのを防ぐ機能のON/OFFを設定できます。
グリップ走行での使用では通常ONにしておく機能ですが、セルフステアを多用するドリフト走行ではOFFにします。
【Steering Wheel Inertia】
ステアリングの大きさ・重さで変わる慣性の比率を変更できます。
MOZA RACINGの公式ステアリングであれば、ゲージ下のプリセットで変更してください。
他メーカーのステアリングや、実車流用ステアリングでプレイされる際は、都度調整する必要があります。
【Natural Inertia】
数値を大きくすると、ステアリングが重く感じられるようになります。
基本的にはBasic SetteingsのWheel Damperに近い影響があり、ノンパワステの車両を再現するのであれば数値を上げるといいでしょう。
【Wheel Friction】
ホイールが路面に接地している感覚の強弱を調整できます。
値が高い程安定性が増し、低い程応答性が増します。
【Speed-dependent Damping】
速度変化によるホイールダンピング効果の強弱を調整できます。
値を高めると、速度が低い程ステアリングが軽くなり、速い程重くなる効果が強くなります。
【Start Point of Speed-dependent Damping】
上記の速度変化によるダンピング変化を作動させる速度の開始点を変更できます。
実車では一般道の速度域でステアリングダンピング効果の変化を感じることはそれほどないので、80km/h前後が基準となります。
■FFB Effect Equalizer
この項目では、特定の状況でステアリングがどのように動作するのか個別に調整することが出来ます。
ABSの反力再現、80km/h・160km/h・240km/hでのコーナーリング時の反力差、芝生・砂利に入った時の反力再現などを、一時的に100%以上のFFBをかけて再現しており、その強さを好みにセッティング可能です。
■Base FFB Curve
この項目では、モーターベース本体のFFB出力と、ソフトから信号指示されるFFBの比率を変更できます。
デフォルトではソフト側から出力された値に比例してモーターベースのFFBが出力されますが、このグラフの波形を変えることによりフィーリングを自在に変えることが出来ます。
以上が、よりMOZA RACINGのモーターベースをより自分好みにセッティングすることができる項目です。
数が多く、中には数値を変えても変化が薄いものもありますが、しっかりとセッティングを出すことができればエントリーモデルのR3やR5でも十分なレーシングシミュレーター体験を得ることが出来、R16・R21ではより高いステアリングアングルセンサー解像度とも相まって、更にリアルなステアフィーリングを得られるでしょう。
ぜひ、あなたのMOZA RACINGデバイス設定も見直してみてはいかがでしょうか?
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