ZENKAIRACINGのSIMを導入するユーザーの皆様の生の声をお届けするスペシャルインタビュー企画“ユーザーボイス”。第2回にご登場いただいたのは、2025年スーパー耐久シリーズ(S耐)ST3クラスで39号車エアバスター WinmaX RC350 TWSのAドライバーを務める藤田真哉選手です。藤田選手は2022年に当時43歳で未経験からモータースポーツ活動を開始。3年目の2024年はS耐ST3クラスのシリーズチャンピオンに輝いたほか、2024年と2025年は富士24時間レースでST3クラス2連覇を果たしています。
本業は“外資系会社員”という藤田選手は、2022年6月からZENKAIRACINGのSIM(ZR-SX100-GT)を活用いただいております。今回は藤田選手、そして藤田選手のSIMトレーニングを支え、S耐ではチームメイトとして苦楽をともにしてきた、ZENKAIRACINGサポートドライバーの伊藤鷹志選手にも同席いただき、効果を最大化させるSIM活用術に迫ります!

ジェントルマン
レーサーとして
認められる領域に
辿り着きたい
ジェントルマンレーサーは会社経営者が多く、
会社員の方はS耐ほどのレースでは稀だと思います。
差し支えなければ、現在のお仕事について教えていただけますか?
- 藤田 真哉
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勤め先はAmazonの日本法人であるアマゾンジャパン合同会社です。現在はPrime Videoに関連した事業開発に携わっています。
- ZENKAIRACING
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読者の方のほとんどが会員かもしれませんね(笑)そんな藤田選手のレースとの出会い、きっかけを是非お伺いしたいです。
- 藤田 真哉
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レースが好きになったきっかけは、幼少期にテレビで見た1983年ごろのル・マン24時間レースでした。そこから耐久レースの虜になりましたが、なかなか自分で走ろうと踏み出せませんでした。ただ、2020年にコロナ禍となり『人はいつ亡くなるかわからない。だからこそ、後悔のないように生きないといけない』と、自分の価値観に変化があったことがきっかけです。
そうして2020年に、憧れだったポルシェ911を購入しました。せっかく911を買ったのだから、サーキットを走らせてみたいと思い、まずは広場トレーニングから参加してみました。そこで出会った方にお誘いいただいて伊藤選手が主催するレーシングカートの走行会に参加し、伊藤選手と出会いました。
伊藤選手には、私がそれまで知らなかったアマチュアレースの世界を教えてもらいました。また、当時の自分よりもずっと年上のジェントルマンさんがたくさん活躍されていると知り、『今からでも本気で取り組めば自分もそのようになれるのではないか』と考えました。『ジェントルマンレーサーとして認められる領域に辿り着きたい』と相談したところ、『S耐にレギュラー参戦していること』というひとつの目安を教えてもらったので、そこをまず目標に定め、伊藤選手と2021年の冬に3年計画を立て、翌2022年からレース活動を始めました。
- ZENKAIRACING
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レース活動1年目の2022年はどのようなレースに参戦されたのですか?
- 藤田 真哉
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まずは、Audi A1 Fun Cupでした(注釈:Hitotsuyama Racing様が運営する1.4LターボのアウディA1をベースにしたJAF公認のワンメイクレース)。
- ZENKAIRACING
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初レースは2022年3月の筑波とのことでしたが、予選2番手から優勝されたと伺っております。(注釈:ポールポジションはゲスト参戦のプロドライバー)
- 藤田 真哉
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そうですね。開幕戦と第2戦富士で優勝し、その後も2位、3位に入り、シリーズタイトルを獲得することができました。
- ZENKAIRACING
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そんなレース活動初年度の2022年6月には、弊社のSIMを導入して頂きましたね! もう3年前になります。とても懐かしいです。
- 藤田 真哉
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当初は伊藤選手と一緒に都内のSIMショップさんに週2回通っていたのですが、毎回練習は長時間になるので、だったら自宅に導入しようと思い、伊藤選手の紹介でZENKAIRACINGさんにご相談させて頂きました。

SIMトレーニングが、
レースでの勝利に
- ZENKAIRACING
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3年計画の3年目となった2024年からS耐にフル参戦し、クラスタイトルを獲得。さらに富士24時間レースでは2度のクラス優勝を飾っておられます。短期間で本当に素晴らしい結果です。
- 藤田 真哉
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S耐に関してはチームメイトやチームのおかげで“勝たせていただいている”という感じばかりです。とはいえ、2022年からの3年間は自分の全てを賭けて挑みました。何があっても、時間と労力とお金は惜しまない。その上で、3年でものにならなければ自分には才能がないと受け入れてレースを辞めようと。やれることをやり切った上で、そして伊藤選手をはじめとした頼りになるチームメイトのおかげで勝つことができ、3年計画を終えてもレースを続けようと思いました。
- ZENKAIRACING
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そんな全開で挑んだレース活動に際し、ZENKAIRACINGのSIMは少しばかりでもお役立ていただけましたか?
- 藤田 真哉
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役に立ったことしかありません!(笑) とにかく数えきれないほどSIMで練習できました。やはり、実車で練習するとお金がかかります。それに、会社員ですので平日は出社して仕事に専念しなければならず、実車でトレーニングをする時間を確保すること自体ハードルが高いです。
さらに、40代という遅いタイミングでレースを始めたため、もっと若い頃からスポーツ走行やレースをしている人たちに追いつくには、その人たちの何倍も練習しなければならないと思っていました。そうなると、SIMで練習し尽くすしかない状況でした。逆にいえば、SIMがある時代だからこそ、40代でレースを初めて、富士24時間レースという大舞台で勝つことができたのだろうとも感じます。
- ZENKAIRACING
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藤田選手が短期間で好成績を残している要因としては、SIMトレーニングの際にSIMとリアルレースの両方を熟知した伊藤選手がそばにいて、効率的な練習ができたからではないかと感じています。
- 藤田 真哉
- 伊藤選手の存在はとても大きいです。SIMは闇雲に走るだけでは時間の無駄になってしまいますしね。

SIMの効果を
最大化させた二人三脚
SIMトレーニングで印象に残った瞬間などがあれば是非お伺いしたいです。
- 藤田 真哉
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3年計画の初期は、サーキットを他車と一緒に走るという経験がありませんでした。なので、伊藤選手がもう1台のクルマで同じコースに出て、バトルの練習をしてくれましたね。その練習で得た「抜く・抜かれる感覚」「他車との距離の詰め方」はものすごく生きています。たくさんのクラスが混走するS耐を戦えているのも、初期からの練習が原点ですね。
- 伊藤 鷹志
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リアルレースは1レースウイークにつき1レース。でもSIMであれば3周レースを100回、スタート練習を100回できます。例えば、スタート直後の混乱をいかにして抜けるか、といった課題に対し、上限なく練習を重ねられるのはSIMならでは、ですね。
- 藤田 真哉
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S耐にステップアップしてからは、SUGO、もてぎ、鈴鹿、オートポリスなど、それまで走ったことがないコースに臨むことにもなりました。各地に練習に向かうこともかなり厳しく、SIMがない状況でのレースは考えられません。また練習する際の車両データは、S耐39号車レクサスRC350に乗る際に役立つようなデータを伊藤選手がアレンジしてくれています。
- 伊藤 鷹志
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RC350に乗れるのは基本的にレースウイークのみです。となると、事前にRC350より速いGT3車両のデータを使ってSIMで目を慣らすことができれば、公式練習でいきなりRC350に乗っても、いきなり全開で走れたりします。


ぜひ、SIMで思い出のあるデバイスなどがあればお伺いしたいです。
- 藤田 真哉
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マニュアルのシフターは“神”でした。レース2年目にトヨタ86で富士と岡山のワンメイクシリーズに出場したのですが、マニュアルのレースカーは86が初めて。それどころか、マニュアル車を運転すること自体が教習所以来でした。マニュアルシフターでしっかりと練習していなければ、どんな結果になっていたことやら……SIM上で何回レブったことか。
- 伊藤 鷹志
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懐かしいですね!最初はヒール&トゥのクラッチを切るタイミングがはちゃめちゃで...
- 藤田 真哉
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実車で同じことやったらマニュアルミッションを壊してしまうので、お金のことを考えずに練習できたのは本当に助かりました(笑)
3年計画を終え、S耐ST3クラスタイトル、
そして富士24時間2連勝という成果を残した藤田選手ですが、
2026年のレース計画はどのような感じですか?
- 藤田 真哉
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少しでも速いクルマでのレースも経験したいですね。また、戦力として必要とされるようなジェントルマンレーサーになることが今の目標なのでもっともっと練習してスキルを磨きたい。そして同時に、これから私と同じように年齢を重ねて、さらにいえば会社員でレースに挑戦したいという人たちの背中を押せるような取り組みもしたいですね。
SIMを購入検討されている方にメッセージをお願いします。
- 藤田 真哉
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SIMは自分で部品を集めて個人で安価に組み上げることもできます。ただ、SIMで重要なのは『如何に使うか』です。ZENKAIRACINGの林さんと初めてお会いした際、『藤田さんがどんなレースをしていきたいかとか、どのようにモータースポーツと関わっていくのかをしっかりとお伺いしたいです。藤田さんの目標や練習したい内容によって、SIMに組み込む機材や部品が変わります』と、おっしゃったことがすごく印象に残っています。
その言葉を聞いた際に、ZENKAIRACINGなら信頼できる、ここにSIMをお願いしたいと思いました。人生を賭けてレースを戦いたい私にとっては、SIMが欲しいのではなく、SIMを使った先にある優勝という結果が欲しかったからです。

「SIMが欲しいのではなく、SIMを使った先にある優勝という結果が欲しかったから」と、お話しくださった藤田選手。レース未経験かつ40代からでも短期間でS耐での結果を残されておりますが、その急成長を支えたのはSIM、そして効率的なトレーニングを実現するべく、サポートする伊藤選手の存在が大きかったのではないかと感じます。
SIMは、フィジカルのトレーニングマシンと同様に、ご購入いただいただけではラップタイムを縮めることができません。目標からプロセスを逆算し、トレーニングメニューを組み立て、環境を整えることで、リアルレース経験者とのギャップを縮めることができます。特に、レース経験の浅いジェントルマンレーサーがしっかりと走り切るために必要なことは何か?という点について、リアルとSIMの両側面において知識・経験を持つプロドライバーがしっかりとジェントルに寄り添いながら計画を立てて丁寧にサポートしていく。このような、藤田選手と伊藤選手の密な関係性が実現した『効果を最大化させるSIM活用術』は、すべてのジェントルマンレーサーが求めた、『速くなる必殺技』なのかもしれません。
ZENKAIRACINGは、ユーザーさまの要望や目標とするレースなどをお伺いした上で、ユーザーさまに最適なSIM環境をお届けするお手伝いができます。SIMだけではなく実車レースにも携わるスペシャリストが、みなさまからのお問い合わせを心よりお待ちしております。ZENKAIRACINGはSIMを通じ、モータースポーツに本気で挑むドライバーのみなさまを応援しております。
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Interviewer:Hiroki Hayashi
Text & Photo:ZENKAIRACING MEDIA TEAM