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【MEC120】グランツーリスモ世界チャンピオンと戦った富士戦『MEC120 2024 Rd.3富士』レースレポート

2024.10.08 10:58(1週間前) RACE

2024年10月5日

『MEC 120 耐久2024 第3戦 富士スピードウェイ』

車両:No.71 ZENKAIRACING v.Granz

ドライバー:林 寛樹(ZR CEO)/兒島 弘訓(ZR Driver)/イゴール・大村・フラガ(ZR Support Driver)

リザルト:予選4番手/決勝8位

 

SC出動を見計らった無給油ドライバー交代作戦も、タイミングに泣く

 

2024年10月5日に、静岡県の富士スピードウェイで開催されたVITA-01/v.Granz混走の耐久シリーズ『MEC120』の第3戦に、No.71 ZENKAIRACING v.Granzが参戦いたしました。

 

ZENKAIRACING代表の林選手、同SIMエンジニアの兒島選手に加え、グランツーリスモの世界大会で名を馳せ今年はスーパーGT300クラスに参戦するプロドライバー、イゴール・オオムラ・フラガ選手を第3ドライバーとして出場する体制で臨み、予選4番手、決勝8位という結果になりました。

 


 

富士に向けCSDを装着。ストレートスピードに効果あり

 

 

今大会より71号車のv.Granzには、ドライバー保護を目的として開発された『CSD(コックピット・セーフティ・デバイス)』が装備されました。

 

2024年のMEC120のレギュレーションではCSD装備車と非装備車の空力性能差をカバーするために、CSD非装備車にはリアウイング翼端板にドラッグ発生目的の専用品の使用が義務付けされています。

 

Rd.2もてぎまでCSD未装着だった71号車は、ライバル車に対してストレートスピード不足に苦しめられていました。

 

1.5kmのホームストレートを持つ高速サーキットの富士では相当ビハインドがあると見たZENKAIRACINGチームは、今回のRd.3富士ラウンドまでにCSDの装備を間に合わせ71号車を仕上げてきました。

 

 

CSD装備によりリアウイング翼端板が通常モデルに替わったほか、マシン剛性にも変化がありマシンバランスが変化。セットアップを見直す必要がありました。

 

木曜日のスポーツ走行から走行を重ね、兒島選手とイゴール選手を中心にマシンを仕立てていきます。

 

そして迎えた土曜日午前の予選、イゴール選手にマシンを託し、さすがのドライビングで4番手タイムをマークします。

 

雨量が思いのほか少なく、タイヤの内圧が上がりすぎた影響で、ベストなアタックではなかったにも関わらず、シリーズ上位を争う車両の中では上位グリッドを獲得したことで、チームはマシンの状態に自信をもって決勝に挑みました。

 


 

勝ちを狙った作戦を敢行するも…

 

 

 

4番手のグリッドに並んだ71号車には、これまで通り兒島選手が乗り込んでスタートを担当。後に控えるイゴール選手と笑顔で会話する、和やかなムードのスタート進行でした。

 

 

コースコンディションを考慮し、SC先導により120分の決勝レースがスタート。3周のSC先導走行を終え、いよいよレーシングスピードへと突入していきます。

 

 

兒島選手は1周で、前方を走る3台のマシン全てをパスし、トップでホームストレートを通過します。

 

コース上には50台以上のマシンひしめき合うなか、2分3~5秒台で周回を重ね、レーススタートから35分を経過した時点で、2番手の車両との差を10秒にまで広げてみせます。

 

そしてレース開始から40分が経過し、チャンスが訪れます。

 

GRスープラコーナーに出たデブリを回収するため、SCが導入されました。

 

このMECを制するためには、SCタイミングとピットインタイミングが噛み合うことが必須。SCが導入されたタイミングでピットイン義務を1回消費する変則的な戦略を決行します。

 

予定通りの手順で兒島選手から林選手にドライバーチェンジを行い、ピット滞在時間通りにピットアウトの指示を出しますが、71号車がファストレーンに向かうタイミングで、ピット出口の信号は赤点灯に切り替わってしまいます。

 

SCが引き連れた隊列がピットレーン出口付近まで接近しており、71号車はその隊列の前にピットアウトすることが出来ませんでした。

 

ピット出口信号が青になるまで停車していたことで、71号車は実質トップから1周遅れとなるタイムロスを喫し16番手まで順位を下げます。

 

 

 

厳しい状況に陥りながらもチームZENKAIRACINGは諦めず、早めに2回目のピットインを終わらせて、後半にSCランが発動されたときに優位に立てるよう戦略を立て直します。

ラストのスティントを担当するイゴール選手もチームファステストタイムを叩き出す力走を見せますが、レース開始120分が経過し万事休す。

 

最終的に8位まで挽回しますが、優勝が見えていただけに悔しい1戦となってしまいました。

 

 

 

Rd.3終了時点でのMEC120 v.Granzクラスのシリーズランキングは、トップから12ポイント差の4番手となりました。

残すは最終戦Rd.4岡山のみという状況。

僅かにでも残るシリーズチャンピオンの可能性に賭け、71号車は必勝態勢で挑みます。

 

引き続き変わらぬご声援、よろしくお願いいたします。

 


 

レース後のドライバーコメント

 

 

兒島 弘訓(ZENKAIRACING Driver)

 

CSDがついたことで大幅な車両特性の変化に対応するべく、事前テストからいくつかテストアイテムを検討し、レース当日には今まで使ってこなかった硬さの領域や、触ってこなかった箇所を触り、更にvGranzという車体の知見を得ることができました。

 

結果だけをみると非常に不甲斐ない結果で、予選では天候を考えたタイヤ内圧設定、雨セットをうまく嵌めることができず、イゴール選手のもつパフォーマンスを活かしきることができませんでした。

 

前回と同様、1発のパフォーマンスで後れを取ってしまったことは申し訳なく感じております。

 

自分自身の走りとしては、4位スタートからオープニングラップでトップに立つことができ、そのまま10秒以上の差を開けることができました。結果としてはSCに泣くことになりましたが、イゴール選手と同等のペースで走れたことでより、 自信がつきましたし、イゴール選手とのウエットの走り方の違いで収穫があり、シミュレーターの走りや開発により活かせるなと感じました。

 

ネガティブな部分も多くありましたが、今までないウエットコンディションでの本気の勝負で得られた知見は多くありました。このデータと経験をシミュレータの開発、そしてトレーニング方法などで皆様に還元していければと思っております。ぜひ今後のゼンカイレーシングにご期待ください。

 

最後に、チームに関わって下さった全ての皆様に感謝申し上げます。今回課題となった部分の対策を進め、次回は悲願の優勝目指して頑張ります。

 

イゴール・大村・フラガ(ZENKAIRACING Support Driver)

 

今回、MEC120の富士第3戦にスポットで参戦する事になりました。

予選は僕が担当して、セットアップが少し裏面に出ましたが4位のタイムを出す事ができました。

 

レースでは兒島選手が序盤からリードを作ってくれましたが、SC中のピットストップで再びコースインするタイミングでピット出口で大幅なタイムロスをしてしまいました。

林選手のスティントでは安定したペースで走行してくれました。しかし、最後のピット作業でまた大きなタイムロスがでてしまい、僕のスティントではフルプッシュで走りましたが、結果は8位に終わってしまいました。

 

3人のドライバーのペースは良かったですし、全然優勝を狙える所にいたので、いい展開から急に上手く噛み合わず8位は単純に悔しいです。

 

週末を通して新たな発見があったり、車のセットアップの方向性も見つける事は多々あったので、最終戦でもチームとしていかせる事ができれば僕は非常に嬉しいです。

また来年リベンジしたいです。

 

林 寛樹(ZENKAIRACING CEO)

 

今回も万全の体制で臨んだMEC120 Rd.3 富士戦。ゼンカイレーシングの兒島選手と、弊社サポートドライバーのイゴールフラガ選手とのコラボレーションで体制を組みました。毎回、違うプロドライバーと組んでいますが、いろいろな視点からのアドバイス、ロガー、フィードバックをもらうことができ、素晴らしいデータ収集が可能となっています。これも、最高のSIMを組むために、SIMの精度をあげていくために我々が非常に大事にしている部分です。もちろんレースでの成果も追い求めていきますが、うまく行くときもあれば行かないときもある。今回はまさにそれを痛感したレースでした。

 

林自身、SIMビルダーでもあり、MODチューナーでもあります。そのためには日々SIMの筐体やソフトとも向き合わないといけません。今回は舞台となるサーキットが富士であり、日々の業務で時間がなくあまり実車での練習時間が取れませんでした。ですので、今回はレース前にiRacing×富士×LMP2での繰り返し練習を実施しました。事前に、社内のメンバーにも走行チェック&アドバイスをもらい、それを実車でも実現できるようカラダに覚え込ませます。

 

特に、林自身47歳を迎える年齢。カラダのセンサーは若い時に比べてだいぶ鈍くなっています。視覚も聴覚も振動覚も、すべての感覚器官において若いドライバーに比べてビハインドはあります。それをカバーしてくれるのがSIMです。

 

私は、レース前の空き時間で、事前に天気が崩れそうであることを天気予報で確認していたので、iRacing内の設定をダンプコンディションまたはRain設定して走行練習をしました。

 

また、『Acrive Reset Save Start Point』>『Acrive Reset Run』の機能を使い、1LAP110秒ほどのコースに対してAコーナーからダンロップまでの約20秒をひたすら繰り返す練習をしました。いわゆる“苦手な箇所の反復”ですね。

 

SIMは導入すればそれでいいのか? いいえ、それは違います。

 

正しい使い方、目標設定をすることで目指す効果を得ることができます。まさしく“Simulator”たる所以ですね。Racing Simulatorにおいては、若手・プロ・ジェントルで使い方もまったく変わってくると思います。また、使う機材・ソフトも変わってくるでしょう。

 

これから、F1がそうであるように、国内のレース界隈も低年齢化は進んでいくと思われます。ですので、それを見越して超若手・若手世代を対象としたSIMの開発と使い方の追求。同時にプロ向けのSIMの進化、ジェントルマンレーサー向けのSIMの進化とトレーニングプログラムの開発。これらを実車のレースを通じて“恐怖も含めての真の体感”を経験として得ることで、SIMへのフィードバックを継続していきたいと考えています。

 

レースに『たられば』はありません。結果がすべて。今回もSCに沸き、SCに泣いたレースでしたが、これもレース。同じほかの参加者の皆さんと勝利の喜び、負けの悔しさを共有しながら、楽しみながらレース活動を続けていければと考えています。

 

応援いただきました家族・友人・パートナー・そしてZENKAIRACINGファンの皆様に心から感謝申し上げます。次戦は岡山最終戦。応援のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

 

 

【ZENKAIRACINGオリジナル】z.Grande for Assettocorsa MOD Version1.5(個人利用) | ZENKAIRACING/公式オンラインストア

限りなくv.Granzを再現したオリジナルMOD『z.Grande』にもCSD装着済みの車両データを開発中です!

大会ごとに違うプロドライバーをアサインしているMEC120でのデータをもとに、いろいろな目線からのセットアドバイスや最高のロガーデータを取り込みながら制作されているトレーニングMODです。

是非ご体験くださいませ。

PERTAMINA / プルタミナ FASTRON GOLD 5W-30 SN/CF 4L | ZENKAIRACING/公式オンラインストア

PERTAMINA(プルタミナ)様、オイルサポートありがとうございます。

今季はVITA-01を使用し参戦する『FCR-VITA』、及びv.Granzを使用し参戦する『MEC120』をPERTAMINAオイルと共に戦って参ります。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

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